熱中症にご注意ください!

どうも、院長の星野です。


最近ものすごく暑いですよね( ゚д゚)

一層、アイスを美味しく頂けます♪



さて、毎年この時期には熱中症の動物たちがやってきます。

連日のように熱中症のニュースがあるので、熱中症という病気をご存じない方はいらっしゃらないかと思います。

動物の熱中症についても、みなさん対策をしっかりしてらっしゃるので、いつも感心しています。





でも、もしかしたらあまり知らない方もいらっしゃるかもしれません。

なので今回は熱中症について、お話ししようと思います。
知っている方も、もしよろしければお付き合いください。

熱中症とは?

「高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が壊れるなどして発症する障害のこと」です。

こんなこと言われても「なんのこっちゃ!?」ですよね。

僕なりに短くまとめてみると、【「暑さ」によって体のバランスが崩れてしまい「全身に様々な障害が生じる」】ということです。

「暑さ」

「高温多湿」と「運動」が原因です。

高温多湿は言わずもがなですね。名古屋市の場合、ゴールデンウィークあたりから9月下旬ぐらいまでが要注意期間です。

運動は激しいほど、長時間であるほど、暑い環境ほど危ないです。

運動の中には「けいれん」も含まれます。長時間けいれんが起こると、一年中いつでも熱中症に陥る可能性があります。

全身に様々な障害が生じる

熱中症では高体温に苦しむだけではありません。

熱中症になると脳や肝臓・腎臓、血液凝固異常、呼吸器など全身に様々な影響が出ます。最終的には命に関わる可能性もある非常に怖い病気です。



人の熱中症

人の医学では、熱中症には重症度分類があります。(簡単に書きます)

  • Ⅰ度:眩暈などの「立ち眩み」
  • Ⅱ度:頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感、判断力の低下、嘔吐、下痢など
  • Ⅲ度:高体温、意識障害、けいれん、過呼吸、ショックなど。中枢神経障害・肝腎機能障害・血液凝固障害の3つのうちいずれかが当てはまる



じゃあ、犬の熱中症の初期症状って何でしょう?

よく初期症状として「パンティングしてて、体が暑い」なんて書いてあります。

夏場の暑い環境に居たのなら、この症状は熱中症である可能性が限りなく高いでしょう。

「パンティングしてて、体が暑い」を掘り下げて考えてみると、、、

この症状は熱中症を疑うってことは多くの方が知っていると思います。

では、この症状を人の熱中症の重症度分類に当てはめてみると、どうなるのでしょうか?

「すでに高体温になっていて、体温を下げようとパンティングしている状態」ですので、実は人のⅢ度熱中症に当てはまります。

Ⅲ度熱中症って、人では病院で集中治療が必要な状態です。

中枢神経障害・肝腎機能障害・血液凝固障害が起こるヤバい状況です。

「パンティングしてて、体が暑い」のは、重症で「病院で集中治療を行う必要あり」な状態なんです。


犬は自覚症状を言葉にして訴えることが出来ません。

初期症状としては、本来目眩や頭痛、吐き気などいっぱい起こっていたハズです。

ですが、犬は自覚症状を訴えることが出来ません。

気付けないだけで、実際には熱中症はいっぱい起こっていると思います。




星野からのお願い3つ

犬で明らかな症状が出た時には、すでに重症になっている可能性があります。

人では初期対応が大事とされており、犬でも同じです。


ぜひ、以下の3つをお願いします。

  1. 熱中症にならないよう、リスクを回避しましょう。
  2. 少しでも体調に異変を感じたら、あまり様子を見ずに病院へかかってください。
  3. ご家族からの情報が非常に大切です。何でも教えてください。


1.リスクを回避しましょう。

長くなるけど、お付き合いください。


クーラーをつけましょう。

屋内であろうが、夜間であろうが熱中症は起こり得ます。

室温は22〜25℃、湿度50〜60%が良いと思います。

もちろん個体差もあるので、それでも暑がるならもう少し下げてあげましょう。

また短頭種などの犬種は熱中症のリスクが高いので、低めの設定が良いと思います。


散歩は涼しい時間帯にしましょう。

夏場のアスファルトは50〜60℃になり、火傷してしまいます。

アスファルトが冷えるのには、日没後数時間かかることもあります。散歩に出る前に地面を触って、しっかりと冷えていることも確認してあげてください。

また犬は人よりも地面に近いので、脳や体全体が地面からの輻射熱に晒されてしまい、熱中症になりやすいです。


運動は控えましょう。

過度な興奮、激しい運動は熱中症の原因になります。

夏場は大好きな公園、吠えやすいポイントなどは避けた方が無難です。


水分補給をしっかりしましょう。

こまめに水を飲ませてあげてください。

氷水が好きな子もいますし、新鮮な水や蛇口から飲むことが好きな子もいます。中には人の手から飲むことが好きな子もいますので、色々と工夫してみましょう。

動物用の経口補水液も売っていますので、効率よく脱水を防げるのでオススメです。


体を冷やしてあげましょう。

ハアハアとパンティングしているときは体が暑く、体温を下げようとしている状態です。もし暑がっている時には体を冷ましてあげましょう。

首筋や脇の下、内股には太い血管が走っているので効率よく体温を下げるのに良い場所です。

毛を水で十分に濡らして、扇風機やドライヤーの風を当てることが効果的です。

水はぬるいぐらいがちょうど良いです。

注意したいのは保冷剤、氷など冷たい物の使い方です。冷たい物を当てると血管が締まり、かえって体温が下がりにくい状況に陥ります。全身に冷水を被せるのも同様です。保冷剤や氷は濡れタオルで包み、人が持ち続けられる状態にして使いましょう。

散歩に出る時に、首元に保冷剤を巻き付けるのは熱中症予防に効果的だと思います。濡れた布などで巻いてあげると良いですね。


熱中症リスクの高い子は気をつけましょう。

簡単にいうと、普段からイビキをかいたり、フゴフゴやブーブーといった呼吸音がしてたり、ゼーゼーという音がなっている子はリスクが高いと言えます。

短頭種、中高齢のラブラドール(口頭麻痺)、上部軌道閉塞症候群(短頭種以外でイビキなどをかく子)、肥満犬などです。

肥満については、ダイエットするだけで翌年から熱中症にならなくなる子を多くみます。ダイエットは大変ですが、快適な夏の生活に向けてチャレンジしましょう。


車に乗るときも温度に気をつけましょう。

可能なら車内温度が下がってから車に乗せてあげましょう。

外部からの日差しに当たりにくく、風通しが良い場所に乗せましょう。



2.少しでも体調に異変を感じたら、あまり様子を見ずに病院へかかってください。

早めに気づき、早めに対処することが何より大切です。

初期症状は目眩や頭痛などで気付きにくく、高体温が出た時にはすでにⅢ度熱中症になっています。

そのため「暑い環境にいた」や「運動した」の後に少しでもおかしいと思ったら涼しい場所で休ませたり、水や経口補水液を与えたり、体を水で濡らして風に当てるなどの初期対応をしてあげましょう。

それでも落ち着かなければ動物病院へ連れてきてください。

当院の場合、日中なら留守番電話に吹き込んでいただければ、急患の方の対応を可能な限り行います。

夜間は、名古屋市獣医師会の夜間動物救急センターを受診してください。


初期症状

元気がない

食欲がない

寝ている

嘔吐

下痢


すぐに治療すべき症状

パンティングして体が暑い

ヨダレを垂らしながらパンティングしている

ぐったりしている

口の粘膜が赤い・暑い、白い・冷たい

立てない、ふらつく

意識が遠い(呼びかけや音への反応が薄い)

出血傾向がある(血尿、血便、目の中が赤いなど)


判断に迷ったときは、何でも聞いてください!



3.ご家族からの情報が非常に大切です。何でも教えてください。

犬の軽度な熱中症は分かりづらく、他の病気をしっかりと除外することも大切です!

除外は検査に頼る部分も大きいですが、何よりもご家族からの情報が大切です。

「暑い環境に居たのか?」「興奮していたのか?」「運動していたのか?」は重要ポイントです。

もちろん、その他の何気ない情報もヒントになります。

何がヒントになるのか分かりませんので、何でも教えてください★



最後に

大切な我が子が熱中症に陥ると、ご家族もパニックに陥るかもしれません。

  • 迷ったときは動物病院を頼ってください。
  • ご来院の際は、体を冷やしながら来てください。
  • 事故のないよう、焦らずに、安全運転でお越しください。


今年の猛暑も、熱中症に気をつけながら乗り切りましょう☆

僕は、色んなアイスを食べて乗り切ります( ´ ▽ ` )